-特別編- 無料サービスの行方 (2002.11.27)
当サイトのいくつかのページに、2002年の2月からアクセス解析を行っていることを示すバナーがあることにお気づきだった方も多いと思います。
私が使っていたのは、「CGIBOY」による無料アクセス解析サービスで、広告付きバナーの掲示を条件にそのページへのアクセスログを分析し、閲覧が可能になるというものでした。時間帯別のアクセス状況やIPアドレス等によるユニーク訪問数の集計はもちろんのこと、リンク元URLや検索ワードなども知ることのできる、非常に充実したサービスです。
2002年10月から11月にかけて、複数ページの解析が可能になるバージョンアップも行われ、ますます使いやすくなり、私も冬休みを利用して主要なページの解析をはじめるつもりでした。
このサービスがInfoseekに移管される旨の通知メールをユーザーが受け取ったのは、11月22日夜のことでした。そのメールにはサービスが移行すること、無料サービスについてはサービス内容が減り、従来と同等のサービスは有料サービスのみでの対応になることなどが記載されていましたが、直前に有料サービスの募集が突然停止されていたこともあり、CGIBOYのユーザー掲示板は一時騒然としました。直前に広告バナーのデザインが変更されて不評であったことなども背景にあって、Infoseek移行後にポップアップ形式の巨大な広告が表示されるのではないか、といった拒否反応も多く見られました。
結果として、週明けの25日になって移行後のサービスの詳細が追加掲示され、混乱は収拾に向かいつつあるように思えますが、無料サービスを使っているユーザーのアクセスログが引き継がれないという問題は、残されたままです(ログを残す唯一の手段であった有料サービスの申込は、サービス移行の発表と同時に締め切られたままです。この発表までは、有料サービスはバナー非表示以外は無料サービスと変わらなかったのですから、ユーザーにはログ引き継ぎの手段は一切提供されなかったといえます)。
無料CGIレンタルなどはその典型ですが、ネット上の無料サービスは、多くが広告収入によって成り立っています。しかし、広告バナーをクリックしたことのある方は少ないのではないでしょうか。実際のところはわかりませんが、ビジネスとして成り立っているのは極めて少数ではないかと思います。
CGIBOYが今回どのような経緯を経てアクセス解析サービスを売却したのかはわかりませんが、自社内で運営し続けるよりも売却益を確定した方がプラスであると判断したのでしょう。10月にCGIBOYの運営会社を買収した楽天の決定なのかもしれません。
もちろん、商品や事業の売買はネット企業に限らず日常的なことですし、Infoseekへの好悪感情はともかくとして、売却自体が悪いということではありません。ただし、既存の顧客へのケアを十分に行うべきことはいうまでもないことです。
たとえば、A社がB社に事業を移管する際に、A社の既存顧客へのサポートは終了し実施しません、などという対応を行うことはまずありません。ユーザー軽視の撤退劇で話題となった、パソコン販売のゲイトウェイ日本法人にしても、サポートデスクだけは残しています。
しかしこの事例では、CGIBOYとInfoseekが「このサービスには既存の顧客がいる」ということを最初から軽視していたのではないかと思われてなりません。最初のメールで詳細を伏せたままサービスの移管とサービス内容の低下だけを告知し、問い合わせを受け付ける方法すらなかったことや、金曜日の夜にメールを流し、週末の間ユーザーを混乱させ続けたことなど、その表れでしょう。CGIBOYにとっては一刻も早く手放してキャッシュを手にしたい、Infoseekにとっては自社の顧客になるかどうかもわからない無料ユーザーなど考慮の外、という形で、多くのユーザーが無視されたのだと私は理解しています。
両社がどのような経緯で、ユーザーを混乱させ、有料サービスを受ける気があるユーザーまで手放す結果を招く行動を取ってしまったのか、外部からはわかりません。
その後の追加発表によりかなり疑問は解消されましたが、混乱を招いたことへの謝罪は一切なく、むしろ「これで解決した」といわんばかりにユーザー掲示板の関連ログを削除するなどの動きからは、少なくとも無料サービスのユーザーが「お客さま」とは思われていないことは明らかといって良いでしょう。
無料サービスにはこんなリスクは付き物、というあきらめは確かに必要です。サービス内容が維持されるなら、そのまま使い続けるのも考え方のひとつです。しかし、ユーザーを小馬鹿にした対応を平然と行う企業のサービスを選択し続けることは、その行為を認めることにつながります。他の方々に強制することはありませんが、少なくとも私には、このままInfoseekのサービスを継続することは正しくない選択であるように思われます。
無料だから仕方がない、この程度で十分、といった企業側の甘えと、それを認めるユーザーの存在は、長い目で見れば決して両社にとってプラスではないはずです。広告バナーを掲載するという対価はきちんと支払っているのですから、無料だからと遠慮するのではなく、納得できない場合には契約を解除すべきだと私は思います。。
2002年2月以来、このサイトのトップページ右上にあった、CGIBOYの広告バナーは12月上旬をもって消えます。その後は他社のサービスを契約することになるでしょう。今回の騒動では、ひとりのユーザーとして、あるいはひとりの職業人として、つきあう会社の体質や姿勢には敏感であろうと再確認させられたように思います。
<2002.11.27>
2002.12.10追記
やってくれました...「12月10日以降、サービス移行処置の案内を送付する」ことになっているらしいのですが、なんの連絡もないままにバナーだけがインフォシークの下品なデザインのものに変わっていました。メールの連絡をするのが先でしょうに...ここまでくると脱力感しか感じませんね。
とりあえず、予告通りInfoseekへの移行を期に、このバナーを削除しました。
ユーザー掲示板でも、サーバ以降に際しての長時間にわたる使用不能状態への苦情が多く書き込まれていましたが、有無をいわさずに削除されています。
ユーザーの苦情とつきあうのがいやなら、商売などやめてしまった方がよろしいのではないかと思います。少なくとも、私は今後CGIBOYのサービス提供者である「株式会社キープライム」のサービスの顧客となることは絶対にないでしょう。
|