第18話 絶対おすすめ! デリシャスデイズ(2003.1.14)
2003年1月から、東京ディズニーシー(TDS)ではスペシャルイベント「ディズニー・デリシャスデイズ」が始まりました。3月20日までの約2ヶ月半、TDSは食いしん坊に乗っ取られることになります。
オープンから1年間、ほとんどイベントなしで運営されてきたTDSも、2002年9月の1周年イベントから「ハーバーサイド・クリスマス」、そして今回の「デリシャス・デイズ」と、イベントが続いています。特に今回のテーマは「食」ということで、キャラクター満載のショーやパレードに頼ったイベントではないことは「大人のテーマパーク」としてのTDSファンにとってはうれしい限りです。
私もさっそく、最初の週末に体験してきました。
今回のエッセイはちょっと長めですが、みなさんにもこの画期的なイベン「アトラクションとしての食事」をぜひ体験していただきたい、というd-mate.com管理人からの強い強いおすすめです。
イベントの期間中、いくつかのレストランではスペシャルメニューを楽しむことができます。今回私が試したのは、「ポート・ディスカバリー」の「ホライズン・ベイ・レストラン」と「メディテレーニアン・ハーバー」にある「カフェ・ポルトフィーノ」のスペシャルメニュー、そして「SSコロンビア・ダイニングルーム」でのスペシャルディナー「ダイニング・イン・ニューヨーク」の3種類です。
まず、セルフサービスタイプのレストランでのスペシャルメニューですが、価格はいずれも1,680円、ドリンクをアルコール類に変更すると1,980円と、パーク内のセットメニューとしては平均的な金額です。内容は、メイン料理とスープ、デザートとドリンクのセットで、どちらかといえば「カフェ・ポルトフィーノ」のパスタのセットがより多くのゲスト向けといえるでしょう。
それぞれのレストランのメニューは、公式サイトでごらんになれますが、特に「ホライズン・ベイ」のメニューは、香草をふんだんに使ったメイン料理に加えてケーキはラベンダーの香りと花の苦みが感じられるもので、私は非常においしく感じましたが好き嫌いがかなりはっきりと分かれるもののように思われます。より一般的な「カフェ・ポルトフィーノ」でさえ、赤パプリカのスープは野菜嫌いのお子さんにはちょっとつらいでしょう。あえて一般受けする無難なメニューではなく、評価がはっきりと分かれそうな冒険をしているところに、各レストランのチャレンジ精神が感じられます。
こうしたチャレンジが可能なのも、TDSが大人も楽しめるパークとして位置づけられ、運営されているからに他ならないでしょう。アトラクションやショーの合間にあわただしく採る食事ではなく、建物やパーク風景を楽しみながら、個性的なメニューから選ぶ食事もまた、アトラクションのひとつとなります。
そんな「アトラクションとしての食事」が形となったのが、「SSコロンビア・ダイニングルーム」と「マゼランズ」でのスペシャルディナーです。
私が今回楽しんだのは、前者で行われている「ダイニング・イン・ニューヨーク」。一人あたり15,000円で、コース料理とワインが楽しめ、さらに食事の前には人気のミュージカルショー「アンコール!」を特別席で鑑賞できるチケットがついています。いわば、ブロードウェイでミュージカルを楽しんだのちに、豪華客船でのダイニングをいただくという体験を模した「アトラクション」といえます。
事前に電話予約をしておくと入園後に指定の場所で「アンコール!」のチケットを受け取れます。開園の5分前までに「ブロードウェイ・シアター」の入り口でキャストにチケットを渡すと、あとはロープで仕切られた特別席への案内、「SSコロンビア・ダイニングルーム」への移動と食事まで、つかの間のVIP待遇を味わうことができるのです。
料理も当然特別製で、2種類の前菜とスープ、牛肉もしくはオマールエビのメイン料理、5種類のチーズとデザートに至るまで、素材も味付けも十分に満足できるもの。この料理に上述のVIP待遇、食前酒、赤白のワイン、食後酒が含まれているのですから、15,000円という値段はむしろ安いくらいです。ワインも「ハウスワインがグラスで出てきたら嫌だな」などといっていたのですがとんでもありません、料理にあわせて調達された選りすぐりの6種類(赤白3種類ずつ)ワインから好みに応じて選ぶことができました。
もちろん、食事中はシェフが料理の説明や感想を聞くためにテーブルをまわり、マネージャや接客係の方々もときおりおいでになっては会話を楽しむこともできますので、普段のテーブルサービスレストランよりもさらに、ゆったりと楽しむことができます。
もちろん、15,000円は「得られるサービスや満足感に比べれば安い」ということであって、絶対金額としては確かに高額なサービスです。テーマパークで遊びの合間に腹を満たす食事と考えてしまうと、とんでもない価格でさえあります
しかし、毎日たった24名のみ(「マゼランズ」ならば16名)が享受できるものであり、料理の質やかかっている人件費などを考えれば利益など出ていないのではないか、と思われるほどの充実した内容です。テーマパークでの新しい遊び方、あるいはリゾートでの過ごし方として、このサービスは従来のテーマパーク滞在には飽き足りなかった多くのゲストに受け入れられるでしょう
今回のイベントにあわせて発売された、TDL年間パスポート所有者限定の「デリシャス・デイズ・パスポート」については、当初「25日からスタートするTDLの20周年イベントが混まないよう、常連ゲストを分散するのが目的ではないか」と思っていました。しかし、今回「食のアトラクション」を体験してからは考えを変えなくてはなりません。朝から晩までアトラクションをまわり、疲れ切ってからではこの食事は重たすぎます。午後からゆっくりとパークへ遊びに行き、散歩といくつかのアトラクションを楽しんだのちにメインである食事を楽しむというスタイルがあっているように思います。そのためには、入園料を気にせずに遊びに行けることが条件となり、今回のパスポートはそのテストと考えるべきでしょう。将来は、パーク入園券がセットになったディナー予約などの展開があり得るのではないでしょうか。
TDSは子供たちも楽しめるテーマパークであると同時に、大人たちが充実した余暇を過ごすリゾートの一部でもあります。きちんと対価を支払うことで、ショーをゆとりを持って楽しみ、上質な食事を楽しむ選択肢が生まれたことに、私は拍手を送りたいと思います。
イベント期間の終了後も、こうしたサービスが何らかの形で残っていくことを望んでやみません。あるいは、この手のイベントが年に何度か開催される、という形でも。
最後に、イベントそのものにはいくつかの不満もあります。
ひとつは、2ヶ月半という期間中、各店でのスペシャルメニューが固定であるらしいこと。もちろん、期間中に何度も足を運べるゲストばかりではありませんから、頻繁に変えることは不満につながるでしょうが、2月の節分や3月のひな祭りといった日本のイベント、あるいは聖ヴァレンタインデー(これもいまや日本独自のイベントのようですが)などもあるのですから、少し季節性を意識して変化をつけてはいかがでしょう。
もうひとつは、もう少しワゴンサービスなどでの展開がほしいことです。レストラン内だけでは、イベントが行われているという実感が今ひとつ足りませんし、雰囲気づくりも不十分です。パーク内のあちこちでこの期間だけの限定メニューが売られていれば、ギョウザドッグだけに長蛇の列ができるということもなくなるかもしれません。それに、レストランでセットメニューを頼まなくても、気軽に食のイベントに参加することができます。
そして三つ目は、グッズ展開です。本来TDSとはなんの関わりもなく、コンセプトも明らかに異なる「くまのプーさん」のグッズなどを作っている暇があったら、食のイベントにふさわしい、台所用品や食器、食材などの展開を考えられないものでしょうか。
せっかくのイベントではありますが、ゲストの反応を見るためか、少々おっかなびっくり実験という感じが否めません。ぜひとも今年のイベントが成功裏に終わり、よりいっそうパワーアップして来年も開催されると良いのですが...
いずれにせよ、この「ディズニー・デリシャス・デイズ」は、ただ並んで乗り物に乗るだけのテーマパークには飽き飽きした大人のみなさんには絶対のおすすめです。15,000円を払ってもきっと後悔しません。さあ、公式サイトで電話番号を調べて、今すぐあなただけの特別なディナーを予約しましょう!
<2003.1.14>
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