d-essays

第5話 <限定>に思う(2001.3.20)

東京ディズニーランド(TDL)に限らず、世の中には「限定グッズ」があふれています。腕時計やアクセサリー、もちろんキャラクターグッズなども含めると、どれほど多くの「限定グッズ」が販売されているのか、とても把握しきれるものではありません。
これほど多くの商品が出てくるのは、私たちが「限定」のふれこみに弱い、ということの現れでしょう。実際、我が家にも数多くの限定グッズがあります。
グッズだけではありません、お昼の定食でも「限定10食のみ」とあるだけでその店に行列ができてしまうことからも、私たちが「限定モノ」に弱いのは確かです。
全てが成功しているわけではないでしょうが、ものが売れないといわれる中で、有効な販売手法のひとつであることは、間違いないようです。

ディズニー関連の限定グッズの中でも、最近特に人気が高いものに「ピンバッジ」があります。この小さな金属製のバッジは、以前からアトラクションのオープン日に配布されたり、記念品として売られていたものですが、昨年(2000年)の冬から急速に品揃えが増やされました。
もともと、アメリカではピンバッジを集めるコレクターが多数存在し、コレクター同志が手持ちのピンバッジを交換する「ピントレーディング」が行われていたそうです。TDLよりも一足先にウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)などでピンバッジの品揃えが大幅に増え、トレードのためのステーションが設置されたことから愛好者が増えたものです。
TDLでのピントレーディングは、2000年11月18日のミッキーマウスの誕生日にパーク内にステーションがおかれ、スタートしました。この日に発売された11,180個限定のピンバッジとランヤード(交換に応じるピンバッジを刺して首から下げて歩くためのベルト)は1時間も経たずに売り切れるという人気で、いまでもオークションサイトで高額取り引きされているのが見受けられます。

ピンバッジに限らず、限定グッズへの人気が過熱するとさまざまな問題が起こります。
たとえば、今年の3月1日に、イクスピアリにあるディズニーストアで限定発売された「カウントダウン・ピンバッジ」は、平日にも関わらず開店前から長い列ができ、入店までに6時間以上もかかったといいます。また、パーク内で販売される限定商品を目指して、入園後に走るゲストも後を絶たないようです。
混雑したパークで走る危険性は、考えるまでもなく明らかです。走っているゲストの多くは立派な大人であり、他の場所で自分の行動を振り返れば、すぐに過ちに気付くでしょう。
そんな簡単なことを忘れさせるほど、限定グッズは魅力的なのでしょうか?

ここで、限定グッズを手に入れるために並ぶ方々を非難する気は毛頭ありません(しつこいようですが、「走る」方々は非難し続けます)。ほしければ並んででも手に入れるのは、自然なことです。ただ、何時間もかかる列につく前に、「限定じゃなくてもほしいかな?」と自問してみることは、大切だと思います。
私たちは、「限定」といわれるだけでその商品の価値が高まるように思い込みがちです。それで満足できるなら問題はありません。しかし、限定グッズは商品を販売する手法のひとつであることを前提に、一人の生活者として商品の魅力をしっかりと見極め、判断することが大切でしょう。
私たちが限定商法に踊らされる限り、なんでもないグッズを限定発売して売り切ろうという商売は続くでしょう(TDLのピンバッジ、品物のできに比べるとちょっと高いと思いませんか?)。それは、長い目で見ると私たちにとってマイナスであると思います。

<2001.3.20>

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