d-essays

第1話 手を振ろう!(2001.1.28)

このページをご覧のみなさんの多くは、東京ディズニーランド(以下TDL)の「ウェスタン・リバー鉄道」をご存じでしょう。
これは私の最も好きなアトラクションのひとつですが、実は、乗った回数はたぶん3回か4回ほどしかありません。このアトラクションは、乗るよりも、「ウェスタンランド」のアメリカ河のほとりで通り過ぎるのを見ているのが一番楽しいと感じるのです。
「ビッグサンダー・マウンテン」から「ラッキーナゲット・カフェ」へ抜ける小道と、「クリッター・カントリー」との境目、「蒸気船マーク・トゥエイン号」乗り場の前には、鉄道が頭上を通りすぎる橋が架かっています。春の暖かな日に、このあたりでのんびりとくつろぎながら、時折鉄道が通るのを眺めていると、実に落ち着いた気分になれます。
もともと、私はこのアメリカ河の見えるエリアが好きで、TDLに入園したときには必ずといって良いほど足を運びます。何をするわけでもなく、蒸気船の汽笛や、カヌーを漕ぐ掛け声を聞きながら過ごしていると、日頃の疲れやストレスも飛んでいくのです。

鉄道が橋を通り過ぎる数十秒ほどの間、私は鉄道の車掌さんや乗車しているゲストに向かって手を振ります。
もちろん、車掌さんはゲストに向かい手を振っていますし、乗車中のゲストも各車両に一組か二組の方々がこちらに手を振り返してくれます。乗っている数を考えると多いとはいえません。それでも、TDLで同じく楽しい時間を共有するゲストと、こうした簡単なコミュニケーションができることで、より豊かな心持ちになれるように、私は思っています。
鉄道だけではありません。振り返れば、大きな汽笛とともに、蒸気船がたくさんのゲストを乗せて出発しようとしています。鉄道よりもさらにゆっくりと動き出しますから、こちらものんびりと手を振りながら見送ることができるのです。そして、「トム・ソーヤー島」との間を往復するいかだも。

TDLで見知らぬゲストに手を振ることには、抵抗をお持ちの方も少なくないでしょう。
実をいえば、私も最初の頃は、鉄道に向かい手を振る妻を見て「ちょっと恥ずかしいなぁ」と思っていました(妻には内緒です...ここに書いたのでばれてしまいますが)。しかし、やってみると思いの外に楽しいことがわかり、以来、よほど忙しくない限り(TDLで忙しい理由なんて、目の前にドナルドやデイジーが現れたときくらいしか、ないのですが)手を振るようになりました。
パーク内で他のゲストに手を振ること、それは、同じパークで時を過ごす人々との親近感を増します。
もちろん、私たちは自分が楽しむために入園し、遊んでいます。休日にはいつも混んでいるTDLにうんざりすることもありますが、自分たち以外に一人のゲストもいないパークが、想像できるでしょうか。あるいは、そこで遊んでいて楽しいでしょうか。
私は、TDLはそこに集まるゲストの笑顔があってこそ成立している場だと思っています。自分だけでなく、その場の全てのゲストが楽しんでいるからこそ、私たちは夢と魔法の王国に引かれ続けるのではないでしょうか。
手を振り返すとき、仏頂面でいるゲストはあまりいません。手を振ることは、他のゲストの笑顔を引き出し、自分の楽しみを増やすことにつながっているのでしょう。

「でも、誰も振り返してくれないと気まずいし...」
大丈夫です。まずは、鉄道や蒸気船のキャストさんに手を振ることから始めましょう。彼ら・彼女らは必ず、私たちに応えてくれます。鉄道や蒸気船は動きますから、他のゲストにも私たちの姿は見えるはずです、最初の一人が笑顔を返してくれたとき、TDLでの楽しみは2倍にも3倍にもなるでしょう。
今度、TDLに行ったとき、鉄道に手を振ってみませんか?

<2001.1.25>

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